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エンタープライズ2.0研究室

使うのは人

社内でブログ、SNSなどのコミュニケーションシステムを導入し、
コミュニケーション活性化を試みることは徐々に一般化しつつあります。

「社員の結束が強まり、積極的な協業で業務効率が上がった」
「社員が会社や仲間に愛着を持ち、改善案を出すようになった」
「現場の気づきから大きなトラブルを早期に発見できた」
「現場のアイデアをみんなで煮詰め新規プロジェクトに発展した」
などなど良い効果を挙げている企業も増えてきました。

逆に、
「システムを入れたはいいけど誰も使っていない」
という企業も増えているのが現実です。

活性化しない原因の多くは、
「業務が忙しい中、とても記事なんて書けない」
「知らない人の記事にコメントなんて書きづらい」
「反応がないから張り合いがなくて書かなくなった」
など。

これまで主観を公開したり、オープンな議論をしたり、
コミュニケーションも業務の一部、という慣習のなかった
企業では、これは当然起こりうることだと思います。

コミュニケーション活性化に成功している企業は
元々上記の文化を持っている企業か、
上記の文化に持っていこうと積極的に現場とのすり合わせをする
コーディネーターを設置している企業がほとんどなのです。

これは企業文化を変革していく試みですから、
簡単なことではありません。
コーディネーターはコミュニケーションの原則を学び、
社員の心の動きを感じ取り、適切に誘導していかなければなりません。


果たして、このような努力をしなければ成功しないシステムが
成熟したシステムといえるのでしょうか。
コーディネーターが頑張らなくても、使っているうちに自然と
導かれるシステムは作れないのでしょうか?

情報流通には以下の原則があります。
・情報を発信する人(記事を投稿)
・発信された情報を加工する人(記事にコメント、評価)
・加工された情報を吸収する人(記事を閲覧)
この3パターンの行動をする人の割合は、ほぼ1:9:90であり、
どこかのバランスが崩れてもコミュニケーションは活性化しないのです。

例えば、「記事を書く負担が大きくて投稿する人が減れば、反応したくなる対象が減るので加工する人も減り、記事やためになるコメントのやりとりが減れば読む人も減る、読む人が減れば、書く人のモチベーションは下がり、忙しい中あえて書こうとはしなくなる」という悪循環に
陥ってしまいます。

コーディネーターがうまくいっていない場合、この原則を理解せず、
誰もが書き、誰もがコメントするはず、という誤解の元で
オペレーションしているケースが多いのです。

だとすれば、システム開発の面でも、おのずと答えが出てきます。

3パターンのいづれもが心地よく行動し続けることに着目し、
・発信する人が負担なく発信することができ
・加工する人がついつい反応したくなり
・吸収する人が求める記事を見つけやすい
このような軸を元に、使っているだけで自然と好循環が生まれることを
とことん考えていかなければならない。

この原則を忘れずに頑張っていきたいと思います。

イントラブログと現実のバランス

イントラブログを通して世の中を活性化したい。
社員に成長の機会と周囲との和を提供したい。
企業に自発的文化の醸成と長期的な成長を促したい。
そういった想いでイントラブログを開発しています。

しかし、まだ社内でブログを書き続けてもらうには難しい現実が多々あります。
・いきなり主観を出すことは精神的に敷居が高い。
・忙しい業務の中で読む時間も書く時間も確保できない。
・書いても読む人が少なく反応もなければ意欲がなくなってくる。
・書く人が少なくなれば読みにも行かなくなる。
このような悪循環を避けるためには、コーディネーターによる運営の工夫やシステムによる工夫が不可欠だと思います。

運営の工夫により、
・読むこと書くことも業務の一部とした業務時間配分
・発信し、提供することへの称賛、評価をする制度作り
システムの工夫により、
・負荷のかからない表現手段を提供する
・多くの記事の中からオススメを提供する
などが必要なのではないでしょうか。

実際に使ってもらうのは人ですから、
当然ながら、アクションの負荷よりもリターンが
大きくなければ続けてはもらえません。

先進的な機能を企画していくと同時に、アクションの負荷が低く、リターンを受け取り易いシステムであるかという基本をより心掛けていきたいと思います。

伝わるべき情報とは?

社内でどんな情報が流通すれば、もっと社員と会社はハッピーになるのだろうか?

今までに流れていなかった2つの情報がカギではないかなと思う。
1.社員の主観
2.社員の気づき

いずれにしても、テーマは「社員発の情報を活用できるかどうかで会社の力は全く変わる」ということです。

1については、これまで客観的で誰が見ても正しいと言い切れる情報しか流通していなかった。しかし、現実の問題では答えが唯一なことの方が少ない。
「自分は○○だから△△だと思う」という形でも十分に価値のある情報、流通させるべき情報なのではないかなと思うのです。
そして、実はこの主観的な判断ロジックを社員みんなで共有できることこそ、イントラブログの威力が発揮されるポイントではないかなと思うんです。
人が自分の考えの幅を広げて成長する時というのは、「他者の判断ロジックに触れた時」だと思います。上記のような「この人はこういう見方でこう判断したのか。なるほど。自分にはないので取り入れてみよう」を繰り返す日常にできるかどうかで社員の成長度は全く変わります。
これが社員の数だけ積み重なれば会社の力としても大きな違いになると思います。

2は、これまで現場の小さな気づきがあったにもかかわらず、その粒の大きさの情報が流れる機会がなかった。
気づきというのはその人の立場によって見える見えないがあります。(能力ではなく)営業という業務を担当している社員は、開発には見えない顧客の生の声からの気づきを得ることができるのです。同様に開発は、営業では触れることのできない気づきを得ることができます。お互いに自分の立場では得ることのできない気づきを共有することで、大きな成果につながったり、相互理解につながって円滑な協業が促進されるのです。
これは経営層と社員にも当てはまり、経営層は社員の気づきに触れることで現実に即した経営をすることができるし、社員は経営層の気づきに触れることでより広い視野で日々の業務の判断をしていけるといったように、お互いに成長し合っていくことができるのです。

この2つの情報がもっと適切に流通するシステムを創りたいと
現在取り組んでいます。

しかし、まだまだ流通するとより良いのに流れていない情報がたくさんある気がします。
1.社内の不正行為の種を通報することによる不正防止
2.社内の「有難う」「助かりました」の流通による適切な人事評価
3.発生し次第欲しい情報を事前予約しておく(RSSによる通知)
とかとか。

1については「人間関係を壊さずに、言うべきことは言わなければならない」こと全般に当てはまって、「匿名」が効果的な部分だと思います。

・何を知れていると毎日がより便利なのか。楽しいのか。
・誰から誰に届くべきなのか
・いつ届くべきなのか
・必要なことだけが目に触れるようにするには
・そのシステムを使い続けるうちに社員はどう変わっていくのか

ここを意識しながら本当に世の中に貢献できる良いモノを創りたいです。

適切に理解できることは不要な誤解を無くし、不要な恐怖を無くします。
適切に理解するためには適切な情報が必要です。

「ここでこんなことがわかればなあ」とか
「今スルーしたけど、これがわかったらもっとしっかりした判断できるよね?」
を自問自答し続けるしかないのでしょうね。
ユーザー会などで日々使ってくださってる方々との対話も増やしたいですね。

情報共有は社員の「やる気」にかかっている

「ナレッジマネジメント」という言葉があります。
大まかに説明しますと、「個人が持っている知識・意見等を組織的に共有することで、より高次な情報を生みだし、新発見や業務効率アップにつなげようとする企業内の試み」といったところです。

さて、このナレッジマネジメントですが、数年前にブームになりました。
多くの企業が我も我もと情報共有のためのツールやサービスを導入し、
自社の社員に向かって情報の発信を呼びかけました。

ところが結果はほとんど失敗・・・その原因は何と言っても、
ツールが使われない=情報発信自体が全くなされない
ということでした。

結局こうして「社内情報共有は難しい」というトラウマだけを残してブームは去りました。

ところが近年、再びナレッジマネジメントに注目が集まってきています。
インターネットの発達により、情報過多となった現代社会で、この先企業が
生き残っていくためには当然の流れかと思います。

以前と異なり、情報共有を行うためのツールも増えました。
社内ブログやSNS、弊社のイントラnewsingのような社内共有ブックマーク・・・
しかし、以前のブームで失敗している企業は、なかなか本格的に動けない。
社内の情報共有が重要なことはわかりきっているのに、です。

いくらツールが素晴らしくても、それを扱う社員が利用する気にならないと、
宝の持ち腐れになってしまいます。

そこで私が考える「どうすれば社内情報共有がうまくいくか」を、
「社員のやる気を出す」という一点においてまとめてみます。

◇社員が本気でやる気になるのは、内からの強い欲求のみ
 ・義務感や上からの命令で動くには限界がある
 ・自分にとってのメリット、喜びがないとダメ
◇どれだけ言っても、情報を出さない社員は必ず存在する
 ・上記事実をきちんと認めることが、はじめの一歩
 ・「情報を発信する」「発信はしないがコメントはする」「発信もコメントもしない」に分類
◇分類された社員ごとに、対策を変える
 ・いちばん割合が多い「発信もコメントもしない」=「見てるだけの社員」をどう生かすか
 ・もちろんその対策は、どの分類でも「内からの強い欲求」を起こさせる手段であること

一番大切なのは最後にあるとおり、「具体的にどうするのか」ということですが、
企業ごとに風土も違えば、情報に対する考え方も異なりますので、事前にしっかりとした
コンサルティングを行うことが重要となってきます。

また、導入後も社員のモチベーションを保つための施策を打っていくことが大切です。
社員に「使わせる」のではなく、「使いたくなる」状況を作り上げるためにどうすればよいのか。簡単に答えは出せませんが、これからこの場で語っていきたいと考えております。

成功とは何なのか?

イントラブログを導入する企業に「導入後の効果を測定したい」とよく言われます。

企業であるからには「導入してこんな成果が出ました。なのでこの買い物は成功でした。継続するべきです。」と報告できなければならないのですよね。

実際に効果測定につながる機能を開発したのですが、それで全てが測れるのかというと決してそんなことはない。

なぜなら、「成功とは何か」は導入する企業によって全く異なるからです。

成功とは言いかえれば「目的が達成されたこと」
導入する目的は企業によって全く異なるのです。

「月5件ボトムアップで新規事業案を生み出したい」
「日報をメールから置き換えてメール流通量を50%削減して業務効率化により売上10%増を達成したい」
「社員のモチベーションを上げて売上10%増を達成したい」
「提案書+作成プロセスの共有により社員の底上げを図り、売上10%増を達成したい」
「社員の離職率を50%下げ、採用コストを50%削減したい」
挙げ始めればキリがない程、経営上の導入目的は様々です。

そして、それらを全て効果測定できるミラクルな指標などないのです。

そうすると、こちら側ですべきことも見えてくる気がします。
システムの利用状況を表すあらゆる個々のデータを正確にレポートし、あえて加工しない。
「今回の成功を測るには、このデータとこのデータを組み合わせてこう読み解きましょう。」
目的に合わせてこんなコンサルをすべきなのだと思う。
予算がある場合はカスタマイズ対応もありなのだけど、目的は時間と共に変わってくることもあるため、やっぱりコンサルは必要なのかなと思う。(当初の目的が達成されて、新しい目的を設定して計測したくなるなど)

もちろんシステム内のデータだけで測れるはずがないので、「システム外ではこんなデータを測定して、合わせて判断しましょう」
までやりたい。

これまではどのベンダーも導入効果は「なんとなく成功」としか認識できていなかった。
経営側の目的まで落としこんで効果測定をしっかりして、1つ1つの事例に添えていくことができれば、「何でもできそうだし、何となくよさげに聞こえるけど、具体的に何に使えてどれくらい効果あげられるのか目安すらわからない」といったイントラブログのイメージを変えていけると思う。

人はなぜ書くのか

人はどうして書くのだろう?

イントラブログの開発をしていて、いつもこのことを考えています。
自分でも書いているのですが、書くって本当に労力かかるんです。
見ず知らずの人まで見にくることが意外と多いと知ってからはなおさらです。

「中途半端なことを書いて批判されたらやだな」
「誰が見てもいいような立ち位置にしないとダメかな」
いろいろ考えてしまって書くのがおっくうになることもありました。

でも、今なぜまだ書いているのか。

それは「労力がかかる以上に自分の人生を変えてくれたから」
しかないと思います。

・書いたことへの批判から議論することですごく勉強になった
・議論を繰り返してわかり合える仲間を見つけられた
・記事を見た上司がその興味のある仕事をアサインしてくれた
・全然違う部署の人が評価してくれた
・「あのアイデアいいね」から知らない社員と会話できた
・質問したら、自分と全く違った視点のアドバイスがたくさん集まってすごく勉強になった
・「そっちの分野に興味あるならいい人紹介するよ」、とか
 「こんな勉強会あるけど一緒に行かない?」と誘われた
・「普段話す機会ないけどブログ読んで怖い人じゃないってわかりました」と話しかけるのをためらわないでくれたw
・「あの記事で問題解決したことがあって感謝してるんです。こっちのことは僕詳しいのでぜひ教えさせてください」と協力してもらえた
具体的に挙げるとこんな感じで「自分の周囲を変える種をたくさんまいてたんだなあ」ってことに改めて気がつきます。

まさに「種をまく」という表現がぴったりで、「自分がこんな人なんですよ」となんとなく知っていてもらうことで、何か機会があった時に「あ、たしかあの人が興味あるんじゃないかな。教えてあげたら喜ぶんじゃないかな」みたいに可能性をプレゼントしてもらえることが多いんです。

こういったメリットを経験した人は自然と書くようになる。
将来的には表現方法は「書く」だけじゃないんだろうなあ。
動画を公開するとか音声とかいろんな形で「自分」を発信して、
新たな可能性を集めていくようになると思う。

ただ、こういったことを体験したことのない人は「イントラブログを導入したので書いてもいいよ」となっても「書くと何かいいことあるの?」ってなって終わりだと思う。

業務が忙しい中で、「いいこと」がない限り労力をかけて書くわけがない。

僕は自分でメリットを感じることができたから、人生が変わりつつあるから、この感動を多くの人が味わえるシステムを創りたいと思っています。

「こんな使い方をするとこんないいことがあるかもしれませんよ」と運用面の布教活動をするのはもちろん、「未体験の人が思わず使ってみたくなり、使ってみたらメリットを体験しやすくなってて、そのメリットをなるべく膨らませるようなシステム」を創りたい。

どんな良いモノも使ってもらわなければ意味がない。
価値を送るだけじゃ自己満足。
ちゃんと届くまで面倒みなければ何も実現されていない。

「興味のない人が思わず使い始めて、ファンになる」をつきつめて考えていきたいと思います。

ナレッジマネジメントから見た情報格差

近年「格差社会」という言葉を良く耳にします。
2006年の新語・流行語大賞にも選ばれたこの言葉は、経済・教育・地域など、
シーンを変えて様々な概念を生み出しています。

しかし、実際どの時代、どの社会にも「格差」は存在するものであり、
そのこと自体に悲観的になりすぎてもよい結果は生まれません。
大切なのは、自身もしくは自身が所属するコミュニティを
どうしたいのかという明確なビジョンを持ち、行動をとることだと考えます。

さて、話題を表題に移します。
いわゆるナレッジマネジメントにおいても「情報格差」というものが
話題に上がることが多くなってきています。

それは、社内の情報共有、ひいては社員教育なども含め、
企業によって取り組みに温度差が出てきていることに起因します。
この温度差が「情報格差」として現実に影響を及ぼし始めている、というのです。

具体的には「社内の情報感度が高い」「ノウハウの共有がきちんとなされている」
「適切なコミュニケーションがとられている」というような項目において、
その達成度が企業によって両極に分かれてきているのです。

どんなサービス・発明も、最初は一人の社員のちょっとした思いつきから
ブラッシュアップされて世の中に認知されるまでに至るものです。
逆に、企業の信頼を失墜させる不祥事・スキャンダルも、やはり社員の
リスクリテラシーの低さ・行動の稚拙さから導き出されるものなのです。

ここにおいて、企業間の「情報格差」が顕著になることの意味は、
上記の「チャンスを得る」確率と「リスクを招く」確率の差が広がることと考えてください。
瞬時に結果が出るようなことではないだけに、問題が目の前に
突きつけられた時には手遅れになっているケースも考えられます。


最後になりますが、「情報格差」はあくまで現象を表現する言葉です。
その言葉に惑わされるのではなく、企業にとって必要な本質を
見失わないことが、何より重要です。